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鼻中隔延長の変形やトラブルについて

最近、鼻中隔延長の手術を希望される患者様が増えております。
鼻中隔延長とは鼻先を下方向に延ばす事で、鼻先を下に伸ばしたり、正面から鼻の穴をみえにくくする手術です。
正しく手術が行なわれるのであれば、日本人の鼻には、凄く効果的な良い手術であると思います。反面、正しく行なわなければ、術後に変形やトラブルに繋がりやすいともいえます。

鼻中隔延長における正しい知識を患者様へ

本日、御来院された鼻中隔延長希望の患者様は、当院以外に、複数のクリニックで相談を受けておられました。クリニックによって説明が異なることや、インターネットの情報で鼻中隔延長の変形や失敗などの情報を目にして、凄く不安を抱えておらました。
相談を受けた一つのクリニックでは耳の軟骨を使用しての鼻中隔延長を勧められ、更に違うクリニックでは豚の軟骨による鼻中隔延長を勧められたという事でした。
正直、どちらも術後の変形やトラブルに繋がる恐れがあるため、当院ではお勧めは出来ませんとお答えいたしました。

鼻中隔延長を希望される患者様には、正しい知識を身につけて頂きたいと思いますので、今回の診療日記では鼻中隔延長がどのような手術で、ネット上にある失敗がどのような理由で起っているのかを説明したいと思います。

当院の鼻中隔延長についてはこちら

鼻中隔延長とは

まず鼻中隔延長とは鼻の左右を分けている鼻中隔軟骨を延長させて鼻を伸ばす手術になります。
鼻先の角度や長さを調整できるので、鼻の構造自体を改善することができます。
とはいっても鼻中隔軟骨自体を伸ばせる訳ではありませんので、何らかの軟骨を鼻中隔軟骨に継ぎ足して延長する事になります。
この継ぎ足す軟骨に何を使用するのかという事がとても重要なポイントになります。

この軟骨は以下の条件を満たしていなくてはいけません。

軟骨の条件

① 延長に耐えうるだけの十分な強度があること
② 延長する十分な大きさがあること
③ 厚すぎない事

十分な強度がないと、延長にたえられず術後の変形の原因となります。
ただし、強度があっても軟骨自体に厚みがありすぎると鼻腔が狭くなり鼻閉の原因となります。
そう考えると薄くて、硬くて、十分な大きさがあるという事が理想の素材という事になります。
鼻中隔延長の手術において上記の条件を完璧に満たしている素材がないという事と、素材の確保に関して非常に高度な技術を要するということが、この手術がとても難しく変形やトラブルに繋がる原因という事になります。

継ぎ足す軟骨の素材の候補としては以下の4つが挙げられます。

軟骨の素材

① 耳の軟骨
② 鼻中隔軟骨
③ 肋軟骨
④ 保存軟骨(豚の軟骨)または人間の死体から採取した軟骨

①②③に関しては自分自身の物を使用します。(同種移植)
④に関しては自分以外の物を使用します。(異種移植)
これらの候補について上から順番に説明していきたいと思います。

① 耳の軟骨は採取が容易で、耳の軟骨を使用するのであれば手術の難易度は非常に下がります。
その為、耳の軟骨を使用して鼻中隔延長を行うクリニックが多いといえます。
ただし、耳の軟骨は触って分かるようにフニャフニャなので、延長に耐えられず変形してしまうリスクが高いといえます。
そのため、少量のみの延長しかしないクリニックもございますが、それではあまり意味が無いといえます。
耳以外の軟骨採取はどれも技術的に難易度が上がるため大多数のクリニックは耳の軟骨を用いているようですが、当院ではお勧めしておりません。

② 当院で行うのは大多数が鼻中隔軟骨を用いての鼻中隔延長になります。
鼻中隔軟骨の採取は非常に難しく、鼻中隔軟骨を使用しての鼻中隔延長を行えるクリニックは数えるほどしかありません。
鼻中隔軟骨は薄くて、硬いため延長に負けない強度があり移植軟骨としては最も適しています。
ただし、鼻中隔軟骨はさほど大きくないので、うまく採取しないと延長するだけの十分な軟骨を採取できません。
又、鼻中隔軟骨の大きさにも個人差があるため、鼻中隔軟骨が小さい方だと、少々ですが最大の延長効果に達しない場合もあるというのが難点です。
鼻中隔軟骨の骨に連結する奥の方の部分の軟骨を採取してくるので、採取が難しく正確に採取出来ないと延長不足になってしまうのです。
そのため、扱えるクリニックは限られてきます。

③ 肋軟骨は十分な大きさが確保できるため、延長が足りなくなることはありません。
ただし、肋骨はご存知のように湾曲しているため、真っ直ぐに加工して移植しても、30%位の確率で術後に曲がってしまう可能性があるのです。(WARP変形)
又、胸に大きな傷が出来るというのも難点です。

こう考えると、完璧な移植軟骨は存在しないということになりますが、その中でも条件を満たす鼻中隔軟骨で行うのが最も適しています。
個人差により多少ですが最大延長に足りないことはございますが、正確に軟骨が確保できれば、大体のケースでは十分と言えます。
術後の変形やトラブルが起こる理由はここまでの説明でご理解できるかと思います。鼻中隔軟骨の採取が難しく、耳の軟骨を使用して行うクリニックが多いためというのが結論になります。

④ 最後に豚の軟骨移植についてご説明いたしますが、結論から申しますと、お勧めはできません。
自身の軟骨を採取して行う鼻中隔延長はハードルが高いため、ブタから採取した軟骨を使用することで鼻中隔延長の手術は容易になり、難しくて手が出せなかったクリニックにも手術が可能となるのです。
お勧めしない理由としては、人以外の動物の素材を移植する異種移植は、倫理的にタブーな領域となります。
とは言っても、実際に心臓外科の心臓弁置換の際に豚の生体弁が用いられるケースもございます。
心臓弁置換の場合、一般的には人工の機械弁が用いられますが、機械弁に置換することで血栓ができやすくなるため、一生ワーファーリン(血を止まりにくくする薬)を飲み続けなくてはいけなくなります。
そのためもう一つの選択肢として豚の生体弁が使用されることがあるのです。
ただし、豚の生体弁を用いる条件としては高齢者に限られます。
もし、若い方に使用する場合は、必ず将来的な入れ替えを全体にして行っているはずです。
理由は豚の寿命と人間の寿命を比較してみるとわかるように、豚の10年後というのは人間の80年後程度に値するものだということがわかるかと思います。
すなわち、耐久性の問題が出てきます。
使用して10年後であれば、人間でいう80歳、20年後であれば160歳ということになります。
とても軟骨が持つはずがありません。

鼻中隔延長の再手術は容易ではない

鼻中隔延長の再手術は容易ではありません。
それなりの侵襲を加えて行う手術ですので、内部での癒着も強いため、10年後に新しいものに切り替えるなどという手術は、簡単にできるものではございません。
豚の軟骨を使用しているクリニックに関しては、このようなことを患者様のに説明しているわけでもなく、非常に問題がある行為なのではないかと思います。
また、人間の死体から採取した保存軟骨を用いるケースもあるようですが、当然死体というのは非常に高齢の方になりますので、耐久性の問題からいくと豚の軟骨と変わらないと言えます。

以上が鼻中隔延長に対する詳しいご説明となります。
鼻中隔延長の手術は難易度が高いため、安易にクリニックを決めず、しっかりと知識を身に着け、カウンセリングを受けて納得した上で行いましょう。
水の森美容外科では、患者様に正しい情報をお伝えして、患者様が正しい選択を出来るように、常日頃から診療に取り組んでおります。

この記事で解説した鼻中隔延長の施術について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
鼻中隔延長の施術ページ